適切な距離感

患者に寄り添うように心がける。

原則としては正しい。しかし、どんな場合もそれで片付くと思っているのは違う。


人格障害、知的障害、発達障害などでは枠組みを決めなければいけない。

不安障害(とりわけ、身体症状の訴えが多い人)の患者さん相手に症状をずっと傾聴していると、余計に症状が増すだろう。

某ドラマでは「いつも私の診察室は開いてますよ。」と主人公が話していたが、それならどんな時でもそうしなければいけない。対応できない事もあると伝える方がよっぽど正直で患者さんのことを考えている医者だと思う。


患者さんや家族で「寄り添う事がいい事だ。医療者は要求を聞くべきだ。」と考えている人は、ゲンナリはするが仕方ない。こちらがきちんと説明すればいいだけのこと。

問題なのは、プロの癖に上記のように考えている者が多いことだ。

患者さんや家族が病院に無理な要求をする。それをやんわりとでも止めてくれる支援者はできる人。焚き付けて要求をエスカレートさせてるような者もいる。


不眠で通院している患者さんの付き添いで、「本人が眠れない時は救急で受診しても良いですか?」と言っていた奴も居た。(ちなみにそいつはそれより前も「本人が効かないと言ってるから」と頻繁に薬の変更を求めて来た。)大前提として救急は切迫性のある方々が対象だ。暴れる、死のうとする、まとまりのない言動で徘徊しているetc      眠れないからといって、気軽に使われても困る。基本的には昼間、しかも主治医の外来日に解決するべき方。もし主治医外来日以外でも対応して欲しいのならクリニックに行くべきだ。それを伝えると、患者さんもソイツも不服そうな顔をして、やがてよそに行くと言ったので紹介状を書いた。


こういうケジメの無い支援者に当たったら患者さんが気の毒である。当面は良いだろう。何でも思う通りに動いてくれるから。しかし、絶対に何処かでつまずく時が来る。