医学部時代の話⑤

3年生になると、ウイルス学・細菌学・微生物学・免疫学・病理学・公衆衛生学・薬理学と2年生に比べると病気に直結する教科が増えてくる。病理学は2年で習った組織学を基に、病気になった時の細胞の構造をスケッチする。免疫学は身体の防御機能を勉強する。薬理学は膨大にある薬の作用機序・副作用を学ぶ教科で、この学年で1番しんどかった。


そして3年の途中から臨床医学、いよいよ個々の病気について学習が始まる。ウチの大学は、2000年頃から流行りのチュートリアル教育を行っている。簡単に言えば、講義は最小限にして、あとは個々の症例についてチューターの指導の下でグループ毎に議論しスライドで発表する。しかし如何せん、上っ面だけしか取り上げてないので全然機能していない。チューターは、普段大学病院に勤めてる医師であり、時間も熱意も無い。大学側から余計な仕事を押し付けられるくらいにしか感じてない様子だった。まあ、そもそもどのようにチューターとして進めていくのかマニュアルさえ用意されていなけりゃ、そらそうなるよな。学生もグループ学習の中で発言する者は極少数。酷い場合はクジで発表者だけ決めて、あとはサヨナラという班も。教授の間でも元々の講義スタイルが良い派とチュートリアル教育が良い派が対立していたそうだ。そしてテストも一部を除いたら楽勝だった。大学病院で働くお医者さんは、ワザワザ難しい試験を作って学生を困らせる程ヒマじゃない。過去問通りの拓一式なので、当日から勉強(というか、答えを丸暗記)すれば楽勝だった。逆に言えば基礎医学の方がテストが難しいというのは、彼らがヒ(ry


かくして、臨床に関しては不真面目な学生はどこまでも堕落するシステムであった。勿論、私も思う存分堕落していった。