医者だからと言って2

前回は医者だからといって、いつも堅い話をするわけじゃないという話をした。しかし、どの世界にも小難しく話すことが好きな人というのはいる。

 

特に多いのが必要以上に英語・外来語を使いたがる人達である。カルテに「家族と面談を行い、病状の説明を行い、了承を得た」で通じる筈なのに、わざわざ「informed consent」とか「IC」と書きたがる人達である。年配の医者のカルテで「verb ehemann」と書いてあるから何かと思ったら、夫同伴というドイツ語らしい。その他は日本語で書いているのにこれだけドイツ語の意味が分からない。

 

去年行った学会で面白い御仁が居た。二人組で同じ医局の先輩・後輩のようだ。その内、先輩の方が特筆に値した。風貌もやや特徴的(小太りでやや天然パーマ)だが、話し方が面白いのだ。後輩の研究だか論文の指導というかアドバイスをしているのだが、やたら横文字が多かった。「だから先生のabilityで言えば~」「これはobjectiveなdataというかevidenceはあるの?」「これは私自身のsubjectivityが入っているかもしれないけど~」etc。この面白さが文章で伝わらないのが残念だ。自分自身にそれをデフォルメする才能が無いのも残念だ。中川家次長課長がいれば、この男だけで1本コントを作ることができただろう。返す返すも残念だ。